COLUMN
「情報爆発」が働き方を変える!社会を変える!【社長コラム】

CATEGORY:4.経営・マネジメント

TAG:小林広治 戦略 本質論

DATE:2017.04.27

「情報爆発」が働き方を変える!社会を変える!

前回は、「ポスト情報化社会」について、もう1つの切り口から時代を見てみました。

それは、情報化社会が終わり、「情報化」するだけでは付加価値を生み出せなくなり、「情報×情報」で「創造」する時代になった。

しかも、「共に」チームで「創造する」時代、つまり「共創社会というのがこれからの新しい時代である、という説明をしました。

また、今までの時代は「指示命令型競争社会」という、ひとの「自立」を阻害する時代だった、ということをうけ、敢えて「自立型共創社会という二重形容詞の形で表現したい、とお伝えしました。

新時代「自立型共創社会」のイメージは、チームメンバーの一人ひとりが自立し、主体的に行動できる仲間であり、そして集まった仲間はみな対等で、それぞれの多様的な強みを活かし合い、チームで創造性を発揮し、新たな付加価値を生み出し、問題を解決する、そして、よりよい未来を社会全体で生み出していく。

そんな人類が歴史上初めて経験する最高な新しい時代です。

では、なぜこの「チーム」で創造性を発揮すべき時代になったのでしょうか? なぜ「チーム」で問題解決をすべき時代なのでしょうか? 前回はその辺の説明を省略したので、今回はそこに触れてみたいと思います。

その原因となっているのも、やはり『情報化社会の終焉』と深い関係があります。「情報化社会」が終わった、という根拠として挙げた「情報インフラの完成」ですが、それにより、

「ほぼ無料で、いつでも・誰でも・どこでも、情報を受発信できるようになった。」

と説明しました。

これにより、誰もが情報を気軽に発信することにより、起こったのが「情報爆発」です。いま私たちの身の回りには膨大な情報量が日々加速度的に増え続けています。

その背景にあるのが、「情報インフラ」の完成というわけです。では、どのくらい増えているのかみなさんご存知でしょうか?

次のグラフを見てください。これはちょっと古いデータですが、平成8年(1996年)から平成18年(2006年)までの情報の増加量をグラフ化したものです。

この10年間でも500倍以上に増えていることが分かりますが、後半の伸びがすごいことが分かります。では、現状はどうなっているのでしょう

図:情報量の変化(平成8年~平成18年)

【出典】平成18年度情報流通センサス報告書
総務省情報通信政策局情報通信経済室(平成20 年3月)

私が探した限り新しいデータがなかったので、簡単な推測をしてみました。仮に平成14年(2002年)から平成18年(2006年)の増加率が一定だという仮説で計算するとこうなります。

図:情報量の変化(平成8年~平成29年)

なんと2000です! しかし、実際は、恐らくこの増加率は、もっと加速度的に増えているという感覚値がありますので、1万倍から2万倍でもおかしくないと言えます。

と言っても、もうここまでくるとイメージできないかもしれませんね。簡単なイメージで説明すると、平成8年(1996年)の時を思い出して頂き、当時の環境で、朝テレビをつけると、1万倍速のスピードで流れ、新聞は1万倍の厚さ、世の中の看板やポスターが1万倍個付いている、そして、会社に行くと机の上には1万倍の書類が積み重なっている、といったイメージです。

想像しただけで、頭の中がグチャグチャになりそうです。

ちなみに、これだけ情報が多くなっても、人の情報の処理能力はほとんど変わっていません。先の総務省のグラフを見ると、平成8年(1996年)からの10年間で約65倍に増えている、ということですが、ちょっとこれは実感値としては納得できません。

自分のイメージとして2倍~3倍程度じゃないか、という気がします。なんにしても、増えている情報に対して、処理されている情報がごくわずかである、ということは間違いなく言えると思います。

では、このような「情報爆発」が、人の働き方にどのような影響があるでしょうか?

まず、今までの仕事の領域では、一人の人間で処理できないくらいの情報が入ってくるため、人間の情報処理のキャパシティを考えると、一人ひとりの仕事の領域を狭める必要が出てきます。

そして、今度はその狭くなった領域について、より高い成果を求められます。そうするとその領域からまた新しい発見や創造が生み出され、新たな情報が発信されることになります。そしてまた「情報」が増大する、というスパイラル状態になるわけです。

図:仕事の細分化と情報爆発

では、その結果どうなるか? 一人ひとりの専門領域が非常に狭い専門家が大量生産されることになります。

結果的に、一人だけでは仕事にならない、何もできない、ということになってしまいます。

したがって、これからは「チームでないと仕事にならない時代」、「チームで新たな付加価値を生み出し、問題解決をすべき時代」と言えるわけです。

つまり、『情報化社会の終焉』し、その結果「情報爆発」が起こり、ひとの情報処理のキャパシティを大きく超えてしまったがために、社会は、チームで新たな付加価値を生み出すべき「共創社会」に移行せざる得なくなった、というのが私の見立てになります。

では、これからの「自立型共創社会」において、私たちはどのように働くべきなのでしょうか。少なくとも、今までの「指示命令型競争社会」のように「言われたことを言われたとおりにする」という依存的に働く時代ではないことは確かです。

私は、このことをお伝えする時に、以前当社で採用したふたりのプログラマのことをいつも例に出して説明します。

 



A君:業界経験10年の中堅プログラマ。「これからはITの時代だ!」と意気込んで独自に勉強して業界入り。趣味はスノーボード、釣り、サッカーなど多趣味。

B君:実務経験ゼロ。但し、個人的にプログラムが大好き。仕事が終わって自宅に帰ったあとや、週末もプログラミングに明け暮れている。

 

当社のような中小企業では、優秀で経験豊富な人材を確保することは至難の業です。そこで、かなり高い期待値をもってA君は即採用しました。B君については、悩みましたが、今後の期待値を込めて採用することにしました。正直に言えば、採用せざるを得なかった、というのが実情です。

しかし、その後、結果的にどちらの方が信頼できる優秀なプログラマになったと思いますか? 答えは、話の流れで想像できると思いますが、B君です。しかも、圧倒的な差でB君でした。

これは、少し考えれば当然の結果であることがすぐにわかります。A君は仕事中の8時間はもちろん一生懸命やってくれましたが、それ以上でもそれ以下でもありませんでした。

それに対して、B君は仕事以外の時間もプログラムに明け暮れました。そして、常に新しい情報を収集し、積極的に新しいことに挑戦し、経験を日々どんどん積んでいきます。

これからの「自立型共創社会」においては、B君のように自ら主体的に行動する人財が求められます。

では、B君はどうして、ここまで主体的に行動できたのでしょうか? それは、シンプルに言えば、「仕事=好きなこと」だったのです。

これからの時代は、これはすごく大事なキーワードになると思っています。いままでの「指示命令型競争社会」においては、上からの指示命令で仕事をするので、嫌なことでも我慢してやらなければなりませんでした。

そこで、「仕事とは我慢するもの」「仕事とは辛いもの」というイメージも「指示命令型競争社会」という社会体質によって植えつけられてしまったものだと私は思っています。

しかし、これからは主体的に、そして積極的に、いい意味で公私混同しながら、働く人が増えてくると思います。私自身もそうですが、起きている間は、100%仕事であり、100%プライベートです。

子どもたちと遊んでいるときでさえ、「ひとの本質的な欲求とは何か?」「ひとはどうすればモチベーションをもって行動するのか?」などと考えながら見てしまいます。

言ってみれば、子どもたちを研究対象です(笑) でもだからといって、その時間は私にとって家族と共に過ごす大切なリフレッシュの時間でもあります。

普通の人にとって働く時間は、移動時間も含めると、起きている時間の7割近くを占めるのではないでしょうか。その時間を「仕事」、それ以外の時間が「プライベート」と区切ってしまい、「仕事」の時間は「死んだ時間」と考えてしまうと、人生の7割を自ら殺してしまうことになります。

それに対して、B君や私のような生き方、働き方ができれば、起きている時間100%を自らの楽しみとして満喫することができます。どちらの方が、より充実した人生かは、答えるまでもありません。

そもそも、人の時間は、「仕事」と「プライベート」と明確に区別できるようなものではありません。特にこれからは「創造」することが仕事、という時代です。休み中に、ゴルフをしながら仕事のことをふと考えたとしたら、それは仕事でしょうか? それともやっぱりプライベートでしょうか?? そもそも「公私を分ける」という考え自体が、これからの時代には似つかわしくない、と私は考えます。

では、どうすればB君や私のような働き方ができるのか? それは、「好きなことを仕事にする」ことです。いままでの時代は「好きなことで飯が喰えるか!」とよく怒られたものですが、いま時代は、遂に「好きなことで飯が喰える時代」になったわけです。むしろ、「嫌なことをして飯が喰えるか!」という時代です。

ただ「好き」というのにもいろいろあります。この辺の話は、また機会があればしたいと思います。

何にしても、これからの「自立型共創社会」という時代においては、圧倒的なスペシャリティが求められます。営業現場でも、会社の人事考課でも、面接でも必ずこう聞かれるはずです。

 

  「あなた(御社)の強みは何ですか?」
  「あなた(御社)だからこそできることは何ですか?」
  「あなた(御社)にしかできないことは何ですか?」

 

この質問に自信を持って答えられるひとや企業が、生き残り、そうでないひとや組織は淘汰されていきます。取引先や上司の「指示命令」に従っているだけのひとや企業は、この問いには答えられないでしょう。

なぜならば、「言われたことをやっている」だけですから、そこに主体性が感じられません。このようなひとや企業は、AIやロボットに置き換わっていくでしょう。

これからの時代は、「自立」して、主体的に行動し、明確な「強み」を身につけ、そして、チームで問題解決できるひとや組織を、社会が強く求め始めています。

「指示命令型競争社会」から「自立型共創社会」へ。

人類が初めて経験する、「全てのひとが、より高い次元の自立できる社会」。そして全てのひとが対等に活躍できる社会。この変化のインパクトがどのくらいか想像できますか? この変化の意味の本質が理解できていますか? そして、この大変化に対する準備はできていますか?

次回は、この時代の変化について、もう少し詳しく見ていこうと思います。 そして、それが分かればこれから何をどう変化させるべきか、これから何をすべきか、の方向性がだんだんと見えてくるはずです。

 

「いきいき!わくわく!働ける未来」のために。

ご参考になれば幸いです。

以上、キズナキャスト小林でした。

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今回の主な論点

①「情報化社会の終焉」が巻き起こした「情報爆発」
②「情報爆発」という現象が、「自立型共創社会」への引き金に
③「自立型共創社会」とは、「好きなことで飯を喰う時代」
④「自立型共創社会」とは、公私混同で、起きている時間全てが「遊びの時間」、全てが「仕事の時間」

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