COLUMN
「主役交代」の大変革時代の到来【社長コラム】

CATEGORY:4.経営・マネジメント

TAG:小林広治 戦略 本質論

DATE:2017.05.04

「主役交代」の大変革時代の到来

前回までで、情報化社会が終焉したことで、情報爆発が起こり、結果として今までの「指示命令型競争社会」という古い時代から、「自立型共創社会」という人類が初めて経験する新しい時代に移行しつつある、というお話をしてきました。

いままでのところで、「時代の流れは分かった。じゃぁ、これから何をすべきなんだ?」というのが、いまあなたが感じている疑問だと思います。そこで、今回は、あなたがこれから何をすべきか、をイメージできるための準備を進めていきます。

ちなみに、なぜ私は端的に「じゃぁ、これをすべきです」と言わないか、というと、「自立型共創社会」においては、誰かに言われたからやる、という依存的な発想ではなく、自分自身の頭で「考える」ということがすごく大事だからです。

したがって、あなた自身が自分の頭で考えられるようにしたいと思っています。そして、その先に、あなたにしかない解決方法が見つかり、それが更にあなた自身の「強み」を強化することに繋がります。それが、あなたの「個性」なのです。

結果として、あなたの存在意義は高まり、共創メンバーの一人として、他から声が掛かるようになるわけです。それは、個人も企業も発想は同じです。

したがって、ここまでについても、あなたが自分の頭で考えられるように、まず時代の流れや、判断するための前提条件や材料を、お伝えしてきているつもりです。

確かに、「情報爆発」の現代において、より時間がタイトになってきているので、「端的にやることを教えて!」というニーズが強いことは十分承知しています。

しかし、それでは本当の意味で「自立型共創社会」を生き残ることはできないと思っています。そして、なによりもこの新しい人類にとって魅力的な時代を、存分に満喫することができない、と思っているからです。

最初にお伝えしましたが、私が目指しているのは「持続可能な組織作り」です。

端的に結果を出したい、という方に対しては、このブログではお望みの答えはお渡しできません。私がこのブログでお伝えしたいのは、「本質的なノウハウ」「枯れないノウハウ」「ずっと使えるノウハウ」です。

なぜならば、私はすごく面倒くさがり屋で、出てきては消えていくようなその場限りのノウハウをいちいち覚えるのが面倒だからです。

でも、本質的なことを身につけてしまえば、あとはそれを応用するだけで済むので、すごく楽になるのです。このブログは私のように面倒くさがり屋さんにはうってつけだと思います。

また、誰かの真似をするだけではなく、自分らしくありたい、誰かの世話になりっぱなしではなく、最終的には自分の力で成果をあげ、自分の足で歩き続けたい、という方には、しっかりとした土台をお渡しできると確信しています。

では、前置きが長くなってしまいましたが、今回の本題に入りたいと思います。

新しい時代「自立型共創社会」において何をすべきか、を考えるには、まず今までの時代との違いを知ることが参考になります。次の表をご覧ください。

指示命令型競争社会と自立型共創社会の違い

では、表中の主なところを見ていこうと思います。

まず、「時代」についてですが、前回も触れたとおり、「指示命令型競争社会」というのは、もしかしたら人類が始まってからずっとそうだったのではないか、と私は思っています。それに対して、「情報インフラ」が完成した2011年を境に少しづつ「自立型共創社会」に移行している、と考えられます。

そして、「特徴」としては、いままでは非常に「工業的」だったと言えます。つまり、ひとを「ロボット」や「機械」の代わりにしよう、という意図があったのでは、と思えるほど、人間的なことを排除することが求められていた時代だと言えます。

学校の教育システムから始まり、会社の中のシステム、社会全体が「画一的」なものを求め、トップダウンのピラミッド型の仕組みを求めていました。

それに対して、これからの時代は、「創造的」であることが重要視されます。

つまり、「考えること」「思考すること」を通じて、新しい付加価値を生み出す時代、ということです。これは、つまり、今までのように誰がやっても大きな差を生みづらい「工業的」な仕事と違い、「創造的」な仕事は、自ら「思考」することが「成果」をあげることになるので、「あなたの考えによってこんな貢献をしてもらえた」という評価になるわけです。

これは、言ってみれば、「あなたの仕事=あなたの考え=あなた自身」と言えるので、すごく働きがいを感じる働き方に通じると思われます。

それぞれの時代の「象徴」としては、いままでの時代は「指示命令型」つまり、言われたこと(だけ)を、より正確に、より早く、より効率的に行うことが求められていました。まさに「工業的」「機械的」ですよね。それに対して、これからの時代は、「考えること」「思考すること」が求められるので、まさに「人間的」な「知性」が求められる時代と言えます。

日本でいえば、明治維新を境に、士農工商の区分の関係なく、活躍できる時代ができあがったと言われていますが、でも今思えば、明治維新を起こした方々が今度は社会の上流階級に居座り、そのまま既得権層となり、その他の一般人を支配してきたと言えます。しかし、今度の新しい「自立型共創社会」においては、本当の意味で私たちのような普通の一般人が活躍できる場が整ったと言えます。今度こそ真の「民主主義」を実現する、明治維新級の「主役交代」の時代と言えます。

したがって、まず「組織」の在り方が変わります。いままでは「指示命令型」でしたので、トップダウンのピラミッド構造の組織が、より効率的でした。しかし、これからは方向付けだけして、メンバーひとりひとりが自由な発想で働けるようなアメーバ型、オーケストラ型の組織にすべきです。

なぜならば、その方が遥かにスピーディかつダイナミックに生産性があがるからです。その理由は、「工業化社会」「情報化社会」を通じて、人類は「モノ」「カネ」「情報」について、フラット化(民主化)することができました。

一昔前の大手企業の経営者とほぼ同等の「モノ」「カネ」「情報」を持っています。また、場合によっては、経営者よりも、一企業の一社員の方が、SNSなどを通じて、もの凄い人脈を持っていても不思議ではない時代です。

また、経営リソースの「ひと」「モノ」「カネ」「情報」をいままでのようにトップに集約されても、トップは情報過多で処理しきれません。また逆に、現場は一番顧客に近く、最新の生きた情報を持っているわけです。

したがって、いちいちトップにお伺いを立てて判断するような組織よりも、現場の彼らがそのまま行動したほうが、遥かに顧客の求める真の価値を提供でき、よりスピーディに対応ができるわけです。現場の複数の目と耳で情報を集め、そのまま行動する、というイメージです。

指示命令型競争組織から自立型共創組織へ

これは軍隊でも同じことが起こっています。アメリカ軍の統制のとれた軍隊が、湾岸戦争でゲリラ軍に太刀打ちできないのは、まさにこのケーススタディを見ているようでした。

したがって、これからの組織は、メンバー一人ひとりが自立的に行動できる環境を整える必要があります。そこで最低限必要になるのは、下記3点です。

①方向付け・・・ビジョン・ミッション・バリューの共有
②権限の明確化・・・どこまでやってよいのか?の定義
③評価システムの改善・・・今までの指示命令での行動を評価する仕組みから、組織の方向性にそって自由に行動して成果を上げることを評価できる仕組みへ

また、組織が変化することに伴い、「リーダーシップ」の在り方も変わります。いままでの「指示命令型競争社会」においては、「強いリーダー」が求められていましたが、これからは「指揮者タイプ」のファシリテーション型の導くタイプのリーダーが求められる、と考えています。

トランプ大統領は、そう言う意味においては「強いリーダー」で、私の考えでは時代の流れに逆行しているようにも見えますが、2026年に向けて、時代は「自立型共創社会」の前提である「自立」を求めている時代だと私は考えています。したがって、まずは「自分ファースト」で自らを再定義すべき時代ですので、この移行期間において一時的に「強いリーダー」が必要とされる、ということは考えられます。しかし、あくまでも「一時的」というのが私の考えです。

なお、組織とリーダーシップについては、また後日「自立型共創社会における組織の在り方」について別途詳しくお話ししたいと思います。いま私がメインで研究している分野がここになります。

次に「人材→人財」についてです。これは、文字通り今までの「指示命令型競争社会」において、「ひと」が「材料」のように扱われてきた時代から、「財産」のように扱うべき時代、という意味を象徴した表現にしています。

財務諸表で言えば、「原材料」は「P/L(損益計算書)」上に乗るべきもので、いわゆる「コスト」としてみなされるわけです。したがって、これは小さければ小さいほど、会社の利益がでるので、経営者はこれを如何に抑えるか、という判断になってしまうわけです。

それに対して「人財」になれば、これは財産、つまり資産ということになりますので「B/S(貸借対照表)」に乗るべき項目になり、企業の価値を測る上で大事な指標ということになります。

そのような中で、これからの時代に求められる人財は、一言で言えば「自立共創」な人財、と言えます。つまり、「自立」して、主体的に行動でき、チーム力を高められ、創造性も発揮できる人財、ということになります。

また、前回説明しましたが、「情報爆発」により、ひとの専門領域は狭くならざるを得ません。その狭くなった専門領域で圧倒的なスペシャリティを発揮できる人財が、これからは強く求められるはずです。

つまり、何かに特化している必要があります。あれもこれもできる、というひとは逆に何もできない人、といいうことになりかねません。

ただ、そのような方に向いているポジションがあります。それは、「リーダー」です。オーケストラの指揮者は、実は色んな楽器をやらせても一流、という話を聞いたことがあります。

それができるからこそ、他の仲間の音色を些細な違いまで聞き取り、最良なハーモニーを生み出すためのリーダーシップ、創造性について圧倒的なスペシャリティを発揮できます。色んな事ができる人は、それぞれの立場に立って考えることがしやすいなどのメリットもありますので、いわゆる「器用貧乏」と言われるような方は、新時代における「リーダー」を目指してみるとよいと思います。

最後に、上記に伴い変化していく価値観の違いについてです。

一番大きな変化は、「より本質的」になり、「本物しか残らない」ということです。

「情報がフラット化」し、いつでも・誰でも・どこでも情報を受発信できるようになったことで、情報を隠すこともできなくなりました。

したがって、いままでごまかして売っていたようなものは、企業の大小関係なく、遅かれ早かれ、必ず破綻します。会社の従業員は、社員という側面を持っていますが、本質的には社会の一員です。社会からみて非合理なことは、まず社員が許してくれません。ネット社会の異様なまでの潔癖症の世界で、必ず暴かれ、そして改善の見込みがなければ潰れるまで徹底的にやられます。

したがって、これからの企業も人も生き残るためには、「ホンモノになること」だけです。

本当に顧客にとって良いことは何か? 社会にとって良いこと何か? そして自分たちにとっても良いことは何か? これを突き詰めるしかありません。これが、近江商人が江戸時代に大切にしていたという「三方よし」の考え方です。

私は「三方よし」が、ビジネスの原理原則であり、これを踏み外したところに「持続性」はない、と考えています。

また、「言行一致」ももう1つの原理原則です。如何に美しい「三方よし」の理念を掲げても、行動がそれに伴わなければ「ホンモノ」とは言えません。

孔子は、君子とは「先ず其の言を行い、而して後にこれに従う」、つまり言葉より前に行動すべし、と言っています。この「三方よし」と「言行一致」の2つが、「ホンモノ」である前提条件だということを、私はこれまでの危機を乗り越えた中から気づくことができました。

ちなみに、「三方よし」は、ほんとにすごく深い言葉で、「売り手よし」だけではダメだ、ということは当然ですが、2000年ごろから言われ始めた「顧客主義」という考え方だけでもダメだ、ということが分かります。

また、じゃぁ世の中のためになることをすればいいんだね? ということで「社会貢献」だけに特化しようとしても、「世間よし」だけではダメですよ、ということを教えてくれます。

つまり、「自分」である「売り手」が我慢して「世間よし」だけを目指しても、そこに「持続性はない」ということです。

つまり、「売り手」「買い手」「世間」という3つのバランスが大事だ、と教えてくれているわけです。

また、「世間」という言葉もすごく深みがあります。これは「いま」という時代の「世間」だけを意味しているのではなく、「過去」や「未来」との繋がり、そして「人と自然」の繋がりなども含まれているということです。

したがって、よりよい明日、よりよい未来のためになることは何か? ということを本気になって考えることが、企業としての本質であり、またその先に「持続性」がある、ということが分かるわけです。

「多様性」という言葉も最近よく聞くようになりました。ダイバーシティや、マジョリティとマイノリティの共生もこれからの大きな社会のテーマになっていくと思われます。

ちなみに、なぜこのキーワードが重視されるか、考えたことはありますでしょうか?

1つはやはり「自立型共創社会」という言葉に繋がります。「一人ひとりが自立して共にチームとなって」というところに、多様性の概念が含まれています。

では、なぜ「多様性」が重要なのでしょうか? 私は、「持続可能性」というのがその上位にある概念だと思っています。なぜならば、「多様性」というのは、生命が生み出した「持続可能なシステム」だからです。

生命が誕生してから40億年弱と言われていますが、当初はメスしかいなかったそうです。メスしかいないと、生命は繁殖する時にどうするかというとクローンしか作れません。そうなると、何か事が起きたときに、全滅するか全員生き残るかのAll or Nothingになってしまうわけです。

そこで生命が生み出したのが、オスという仕組みです。交配によって生み出した子孫は、オスメスの組み合わせでも微妙に違った個体が生み出されます。つまり、ここに多様性が生まれたわけです。

その結果、大きな環境変化があっても、誰かが生き残れる、という可能性を身につけたわけです。

つまり、生命にとっての「多様性」は、種の「持続可能性」につながるわけです。

また、蜂は、ある一定の温度になると、巣の温度を下げるために、激しく羽ばたきを始めるそうです。しかし、この「ある一定の温度」というのは、個体ごとに微妙に違うそうです。もしこれがすべての個体で「ある一定の温度」だとしたら、巣の中の全ての蜂が一斉に羽ばたきをはじめることになります。そうすると、巣の温度は乱高下することになってしまいます。

このように、「個々に違う」という多様性が、生命の持続性や安定性につながる、ということがお分かり頂けたと思いますが、これからの「自立型共創社会」はまさに一人ひとりの違いを活かせる時代になったわけです。

そして、「活かす」だけではなく、むしろそれぞれ自分自身を演じきる、ということは種の安定性にとっては一人ひとりの「責任」と言ってもいいくらい大事なこと、だとこの蜂の話を聞いて思います。

人間一人ひとり、全く同じ人間はいません。100%違います。その違いを一人ひとりが演じきることが、人類そのものの「種」の安定性、持続可能性につながる大事なことなのです。

「超個体」の考え方にも通じます。私は、人間と言う「種」だけでなく、もしかしたら、地球全体、宇宙全体が「超個体」という生命になっているんじゃないか、と最近漠然と感じています。

この辺についてはいまものすごいスピードで各分野の研究が進んでおり、これからの成果がすごく気になっています。この研究の成果のスピードが上がっているのも、時代が「情報化社会」から「AI化社会」に変わり、ひとの思考だけでは追い付けない部分をAIが補完してくれることでスピードアップしています。そして、「ひととは何か?」「生命とは何か?」「宇宙とは何か?」そんな謎もどんどん解明されていくことでしょう。

そして、もっと大きな流れでの「自立型共創社会」。ホントにこれからの時代が楽しみです。

またこれからの「自立型共創社会」においては、「創造する」ということが求められる時代ですので、人間の創造性を発揮する部位である「脳」のパフォーマンスをどうすれば最大化できるのか、という点において更に研究が進んでいくと思われます。

例えば、アルファ波、特にその中でも低アルファ波のでる環境が創造性を発揮する、と言われていますが、どうすればそのような脳の状態が作られるのか、などについてです。

したがって、今後は脳科学についての研究も進むでしょうし、またアルファ波との関係性で幸福学についての研究も進むと思っています。私が、いつも「ハッピー」とか「幸せ」とか言っているのは、決して宗教的な視点からではなく、生産性オタク的な私からすると、それが高い生産性を生み出せる、と思っているからなのです。

これからの時代は、知的生産性をあげるために、幸福度をあげる、また幸福度があがれば、更に知的生産性があがる、そして仕事のパフォーマンスがあがる、ということは、自分の存在意義も高まるために、更に自分自身の幸福度が高まり、結果として知的生産性も更に高まる、というもの凄く素敵な好スパイラルに入ります。

私が、「仕事って超楽しい!」「死ぬまで超ハッピー!」と断言しているのは、この辺の仕組みを理解して、自らそのような環境を作っているからなのですが、この辺についてもまた別の機会に詳しくお伝えできればと思います。

その他の細かいキーワードにも1つ1つに重みがあるので、1つ1つのキーワードを流し読みするのではなく、ここから、これからの時代のニーズを少しでも感じとっていただければと思います。

 

「いきいき!わくわく!働ける未来」のために。

ご参考になれば幸いです。

以上、キズナキャスト小林でした。

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今回の主な論点

①2011年~2026年の間は、明治維新級の「主役交代」が起こり得る大変革時代
②新時代「自立型共創社会」で生き残るためには、「自立」「共」「創造」の3つが重要キーワード
③新時代「自立型共創社会」は、「本質的」「人間的」であり、ひとの「多様性」を許容し、社会と人類、そして地球の「持続可能性」追求する時代
④持続できる「ホンモノ」の前提条件は、「三方よし」と「言行一致」
⑤時代の大変化に伴い、組織の在り方やリーダーシップの在り方も大きく変わる

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